InterView07 Xiao Mage [Xiao Mage & Cheng Zi Workshop] from Beijing

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これは『未来』という本です。この本は、オランダのアムステルダムの都市と北京の大学の交換留学プロジェクトについて書かれています。このプロジェクトの特徴は、ただのグラフィックだけではなくて、建築、プロダクト、ファッションなどさまざまな分野の学生が一緒に行っているところ。また、一番大きな課題は、「未来の都市」について研究するというものです。私はこの本のデザインをするにあたって感覚的に、未来は「道」だと思いました。

この表紙のデザインでは、積み木のオブジェを使っています。積み木を配置して、隙間のところが漢字の「未来」に見えるようになっています。別のテーマだったらこういうデザインはできなかった。なぜ積み木かというと、中国では、子どもにはじめて与えられるおもちゃが積み木なんですね。子どもが積み木を使って、社会を想像し、建築をする。私は、子どもが生まれてはじめて世界を認識できるのは、積み木からだと思っています。未来は未知の世界なので、積み木を使って、万華鏡のような形にしました。このなかのデザインもチャンズと2人で制作し、編集にも力を入れましたね。制作期間は、実際のプロジェクトが終わった1年後でした。オランダの大使館責任者からは、文字と写真だけが送られてきて、それを送ったあと、その担当者は旅行に行ってしまいました(笑)。ただ、別に大使館で働いていた通訳を1人つけてくれたので、当時の情報をたくさんもらえました。このプロジェクトがおもしろいのは、北京の大学生がアムステルダムに行き、そこで共同研究し、逆にアムステルダムの学生が北京に来て討論し、実際に建築を建てたこと。この本はふたつの要素で構成されています。ひとつは学生の作品、もうひとつは、専門家に書いていただいた、この都市に対する文章です。最後は、学生が先生に取材した内容。真ん中のピンクのページは、2人の専門家の文章で、あまりプロジェクトに関係ない話だったので、真ん中に置いています。

この本には、写真の後ろに、短い文章のページを挟んでいます。これは、実際に学生さんが別の都市に行ったときに書いた文章です。

その後ろのページは、学生が先生に取材するページですが、学生の感想文のような文章を挟み込んでいます。どうして関係ない文章をはさんでいるかというと、例えば、コーヒーショップに行ったとき、周りでほかの人の話し声が聞こえてきますよね。それをイメージしてつくりました。

後藤:その話を聞いてとてもおもしろいと思いました。印刷とかデザインにこだわっていて、かつ編集もしている。ただ単に凝ったものをつくっているわけではなくて、意味があること、その本の取材をしている状況も、デザインと編集によって、その本の中に入れている。すごくおもしろいなと思いました。

シャオマグ:本は本としてだけではなく、制作のプロセスを残しながらつくっています。これはデザイナーと読む側のひとつのつながりですね。

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このアーティストのイラストは変なものが多くて、作品集をつくるときに、ただ作品を載せるのではなくて、特徴が見えるようにしました。

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白い部分のなかに描いているイラストがアーティストの作品で、外のラインを私たちでデザインしました。アーティストの作品は少し気持ち悪いものなので、わざとこういった線画にしています。帯にもイラストを印刷していて。また、裁断されていない袋綴じページがあり、読者はそれを切りながら、読んでいきます。

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この本は飛行機と落下傘がテーマ。ひとりのアメリカ人を紹介しています。その方は39歳で亡くなられていて、中国の友達がその人を記念するために、この本をつくりました。早くに亡くなられたので、表紙には汚れやすい布を使っているんです。みなさんが手に取るとき、大事にしないとけないという気持ちが生まれるように。彼は中国名では長さんという名前でした。生きているときに飛行機を運転するのが好きだったので、『長さんと飛行機』というタイトルをつけています。

本当の表紙は真ん中にあって。それはなぜかというと、この人は中国のアーティストを海外に紹介、仲介していて、ずっと真ん中にいたからです。

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この本は、生と死をテーマにしている。わざと1ページずつにタイトルを綴っていて、めくっていくとそれがわかります。色は、アーティストがよく使っていたピンク・みどり・金。また、この本は『歌える星』という、1970年に打ち上げ成功した、中国ではじめての衛星をモチーフとしているんです。この仕事をいただいたときに思い出したのは、衛星が飛び出すときによく流れていた有名な『東方紅』という歌。なので、音が出せるような本をつくろうと思いました。本のページをめくると音が流れますし、音符などの音楽の記号を用いています。タイトルのように「歌える本」です。以上、ありがとうございました。