InterView07 Xiao Mage [Xiao Mage & Cheng Zi Workshop] from Beijing
本の最後に、それぞれの建築家と小説家を紹介するページがあります。もともと、その建築家と小説家の写真を載せようとしたのですが、送ってきた写真が、旅行中の写真やパスポートの写真だったのです(笑)。それをそのまま載せるとあんまり良くないなと思い、時間はなかったけれど、それぞれのイラストを書きました。
後藤:自分で描いたのですか?
シャオマグ:チャンズと一緒に書きました。

これらがその建築家や小説家のイラストです。この本をデザインするとき、ちょうど本棚にあったカンディンスキーの本を見ました。点・線・面は、デザインの基本なので、小説と建築を組み合わせる要素にと考えたんです。それぞれの点から、いろんな形の線や面をつくり出しました。今から、一番大事なものを見せます。

これは、中国のデザイナーが100年以上前にデザインしたページです。このデザインは装飾として、中国のデザイナーたちにとっての財産と言えます。また、今回のデザインにも関連性がある。ただ、あるデザイナーには、この線を使っていることを批判されました。トークの前に、後藤さんに質問されたことでもあります(笑)。この装飾は、誰のデザインでもないんです。みんなが使えるもの。今は、インデザインのソフトのなかでも、自由に使えるものがあります。今回つくった線は、自分が一からつくった線なので、ほかでは見られません。参考にしたのは、中国で1920年から1930年代に流行していたデザイン。たぶん、日本の昔の本も、こういう手法をとられていたはずです。昔、使われていたモチーフと、デザインの先輩に対するリスペクトを込めています。

女性アーティストの2006年から2011年までの作品集です。作品ごとに分けて、冊子にしました。
本のなかで、立体をイラストにしています。記録写真から、アウトラインをとり、イラストを描きました。タイトルの『ヴェイロン』とは、矛盾という意味で、タイポグラフィもそれをテーマに、エッシャー風のデザインにしています。

これもアーティストの作品集です。仕事をいただいたときに、アーティストのことをまだ知らなくて、一度、作業をしているところを見に行きました。ドアを開けた瞬間、大きな絵があり、周囲に油絵の具が散らかっていた。その絵を見て、制作時の感情を知ることができました。その時の興奮をそのまま本にしたかったので、アーティストには普段絵を描くのと同じように、表紙を支持体としてもくもくと作業してもらいました。また、この絵ができるまでのプロセスも記録しているんです。こういった、アーティストに注文して作業してもらうような仕事では、小さな規模でしか頼めないのですが、それでも、絵の具を乾燥させるときにはそれなりのスペースが必要になります。そう考えると、このつくりかたがこの作品にとって、本当に良いつくり方だったのかはわからない。もっと良いデザインができるように、編集できるようにといつも考えています。
後藤:この本の発行部数は何部ですか?
シャオマグ:1000部ですね。
後藤:中国でアートのバブルがあったとき、カタログもアーティストブックも、作品の一部として、多少高くて設定しても売れると聞きましたが、今もそんな感じなのでしょうか?
シャオマグ:中国で出版物を出すには、2種類の方法があります。ひとつは、出版社から出すもの。それにはバーコードが付いています。もうひとつは、ギャラリーの自費出版本です。基本的には贈呈用で、販売するときは、値段を高くしています。実際、バーコードが付いている本のほうが安く売られている。「出版社が出版した本は地上、ギャラリーが出版したものはアンダーグラウンド」なんて言われていますね。出版社の仕事だと、こういう凝ったつくりの本はできにくい。