InterView06 Aaron Nieh [Aaron Nieh Workshop] from Taipei
質疑応答
後藤:質問がある方はいますか?
原田:質問してもいいですか? ひとつは、今いろいろと見せてもらった仕事だけでご飯を食べているのか聞きたいです。
アーロン:年が経つにつれて、自分がどういう仕事をしたいかがどんどんクリアになってきました。例えば、自分がやりたい仕事に注力したいと思えば、すごく儲かる仕事を断るケースも増えています。
後藤:ということは、十分にご飯が食べられているということですか?
アーロン:はい。稼いで、こうして日本に来ているようにほかの国へも旅行したりして、また帰って稼いでを繰り返していますね。
原田:もうひとつは、日本ではCDは売れなくなっている状況があるのですが、こういうスペシャルなパッケージをつくることは、台湾では普通のことなのですか?
アーロン:私台湾の音楽業界は、台湾だけのマーケットではなくて、中国と香港とシンガポールなど周辺の国の人たちも、台湾の音楽を好んで聞いているのです。古く言えばテレサ・テンなどがそう。台湾自体が、中華圏の音楽の中心になっているので、CDの仕事が十分にあるのです。だけど、将来的にそれがなくなる可能性ももちろん考えているので、そのときは音楽に関係しながら、紙ではない別のことのデザインをできるだろうし、そういうことも考えています。
原田:CDのパッケージだけでなく、架空のポスターをつくるなどして世界観をつくられてきましたが、そのほかに、デジタルと関連して行った事例などはありますか?
後藤:もしくは、CD以外のやり方で、音楽に関わるデザインですでにはじめていることはありますか?
アーロン:まだそこまで考えていることはありませんが、音楽に関するインターフェイスのデザインみたいなことはできると思います。基本的に、そのタイミングがくればその時に考えるタイプなのです。例えば先日香港に行ったときに、カイリー・ミノーグのアルバムが、USBのかたちで販売されていたので、CDに限らず、インターフェイスという点だけでなく、違うかたちのメディアでの表現があり得ると思うので、その時に応じてつくっていくでしょう。
後藤:これまで何度も聞かれている質問だと思うのですが、腕に入れているタトゥーや、名刺にも入っているモチーフには、どういう意味が含まれているのですか?
アーロン:タトゥーのモチーフは、IKEAの家具の取扱説明書に出てくる記号をそのまま入れました。理由は、以前見た演劇のフライヤーの中にあった「人生のすべての物事は詩になり得る」という言葉に感銘を受けたからです。だから、IKEAのネジをここに彫り込むことはクールだし、説明書ではなく、自分の身体に持つことで、別の意味を持ち、抽象化されるということにおもしろみを感じました。この記号自身に意味はないけれど、そういった背景で入れています。長い間入れておけるように、彼女の名前などより、意味のないものを入れたほうがいいと思ったのです。
質問者1:『The Big Issue』の表紙の写真や、事務所の写真の中にも写っていましたが、自転車がお好きなのですか?
アーロン:とくに運動しないので、自転車は運動不足に役立つし、好きで乗っていますね。
後藤:時間も来ましたので、このあたりで締めたいと思います。アーロンさん、長時間ありがとうございました。
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- editorial studio MUESUM(多田智美/永江大)、仲村健太郎、浅見旬
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- Cahier (多々良直治)