InterView06 Aaron Nieh [Aaron Nieh Workshop] from Taipei

台湾版の『The Big Issue』のカバーデザインもしています。
後藤:これは全体のディレクションもしてるのですか?
アーロン:表紙のデザインだけです。通常、書店などの流通にのせる本は、ロゴなどの位置を毎回統一しなければならないのですが、『The Big Issue』はホームレスの方たちが街頭で売るというのが基本の販売方法で、ベンダー自身がロゴマークのついたシャツなどを着ているので、『The Big Issue』を売っていることが明白なため、自由なデザインができるんです。
後藤:表紙に関して、編集部から、完全に自由なデザインをしていいと言われているのは本当ですか?
アーロン:そうですね。デザインを変えられたりしたことは一切ないです。私に信頼を置いてくれているので、デザインに手を入れられることはないです。時々、自分でも変なデザインだなと思うこともありますが、信用してくれているので、そのまま出ていますね。
原田:ビジュアルも選択しているのですか?
アーロン:アーティストとのコラボレーションをしてつくっているのですが、やはり写真家の人と一緒にやることが多いですね。写真を選別する権利もあります。
後藤:コラボレーション相手も自分で選んで決めているのですか? それとも、『The Big Issue』側が決めているんですか?
アーロン:基本的には『The Big Issue』側が、どういう作家を使うか、写真家を使うかを決めます。けれど、私にも、起用する人を教えてくれるので、「その人は違うんじゃないか」と意見する権利はもちろんありますし、相談を受けつつ、仕事をしています。台湾で『The Big Issue』を買うのは、学生や文学やアートが好きな人が多く、ポップスターが表紙にくるときは、その人たちを意識したデザインにするように意見しますね。
後藤:僕がアーロンのことを知ったのは、台湾の『The Big Issue』がすごく良いという評判聞いたからなんですが、この仕事を手がけるようになったきっかけを教えてください。
アーロン:ロサンゼルスにアーティストインレジデンスで滞在していたときに、台湾で『The Big Issue』を始めようとしている人から、デザインの依頼があったんです。そのとき僕は、『The Big Issue』のことがどんな雑誌で、どういう計画を持っているのかを知らなかった。だから、むちゃくちゃ自由なレイアウトのものを提出したんです。それを、台湾版『The Big Issue』の創設者が、そのままイギリスのロンドンにある『The Big Issue』本部の人たちに提案したら、本部の人たちもとても気に入ってくれて、試作品だけじゃなくて、続けてデザインしてほしいということで、私がデザインすることになりました。

これは、『ヴェニスに死す』という本の発刊100周年を記念して装丁したものです。

吉田修一さんの本の装丁もしています。彼の作品は、これまでにも、かなりの数を手がけました。日本でも使われている、中国のかなり古い字体を使用しています。

これは、台湾の作家さんの本で、『デスとラブ』という2人のレズビアンの本です。ブルーを使って、悲しげなデザインにしています。この本は北京の出版社から出版されました。