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InterView04 Sulki Choi and Min Choi [Sulki & Min] from Seoul

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2009年につくった作品では、消費情報を8ヶ国語に訳しました。スペイン語、英語、日本語、ドイツ語、韓国語、オランダ語、中国語など。非常に時間のかかる作品と同時に、本当に意味のない作品でもあります。

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こちらが、2001年の作品です。あまりお金がなかったので、こういう小さい判型のものをつくりました。出版することを考えたときに、本来であれば、価値のある情報をシェアすることが目的となることが一般的だと思います。だけど、このプロジェクトでは、SASA以外がこれら情報を見ても意味がない。ある意味、SASA自体は、パブリックかプライベートのボーダーにいるんですね。そこに、価値を感じています。

後藤:スタートした理由はお聞きしましたが、予算もないなか、続けている理由はどこにあるのですか? 作品をつくりたいという気持ちがあるからですか?

ミン:単純に、本をつくるのが楽しいというのが理由です。また、自分の役割をシェアしたかったということもあります。構想当初、僕たちの好きなテキストを翻訳したものを出版したかったのですが、受け入れてくれる出版社を探せなかったんです。もちろん、もっともっと自分たちが動かなければいけなかったとは思うのですが、今は少し状況が違って、韓国のworkroomをはじめ興味をもって見てくれている出版社がいます。そう考えると、以前と比較しても、自分たちで動く必要性もなくなってきているんですね。そういうこともあって、今は積極的にいろんな人たちとコラボレーションをしています。

後藤:workroomというのは、彼らが尊敬しているデザイナーと編集者によるスタジオであり出版社ですね。

ミン:また今後、workroomと一緒にプロジェクトを行うつもりです。シリアスなデザインによる翻訳本というのは、今とてもニーズが高まっているし、ほかのデザイン会社も手をつけはじめています。だからこそ、workroomと共同で何かできないかと考えています。今後、「Spectacle Collaboration」では、SASAさんとはじめたような、ちょっと意味がないことや作品的なこと、アイデアを形にしていくことなどを手がけていきたいですね。

スルキ:時間もないので、プロジェクト紹介をひとつとばします。

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後藤:これは話を聞いただけなのですが、すごくおもしろくて。製品についているその会社だけがわかる製造番号。そういった一部の人に意味があって、ほとんどの人に対してまったく意味がないことをコレクションし、少しデザインを加え、タイプフェイスを変えたりして、ポスターにしたり、展示したりしています。

ミン:ご説明ありがとうございます。

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スルキ:次は、リスボンでのデザインビエンナーレ「EXD’11 biannual」に出展したインスタレーション作品についてお話をしたいと思います。デザインビエンナーレのテーマは、「冗長性」。そこで、コミュニケーションの冗長性の価値観を再検討するインスタレーション作品をつくりました。ビエンナーレに招待されたときから、パフォーマンス的な作品が良いと思っていて、インスタレーションを通して挨拶をさせるような作品をつくったんです。私たちは、挨拶が好きですからね。

昔、別の仕事で、街角に掲げられるバナーをデザインしたことがあって、「ようこそ」と「さよなら」を組み合わせてつくったんです。本当にいろんな場所に設置されました。今回のリスボンでは、そういったことをしたいと考えたんです。「ようこそ」という言葉には意味がありますよね。だけど、「ようこそ」という言葉の意味を、みんなあまり深く気にしていません。例えば、よく考えてみると、公共スペースのような存在自体がウェルカムな場所であるところに、さらにウェルカムという看板を置くことが冗長な感じがする。それは、おもしろいなと思ったんです。

本当は私たちがその場にいて挨拶をしたかったのですが、問題がありました。それは、ビエンナーレは2ヶ月ほど会期があり、ずっといる訳にもいかなかったんです。それを解決してくれたのが、シグナルロボットでした。日本でもおそらく使われていると思いますが、交通整理に使われる人形ですね。いつもは、工事現場の作業着みたいな服を着て、腕を振っています。

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シグナルロボットは、人間の代わりに使われていて、人間がもっと大事な仕事に集中できるよう、代わりに動いているわけです。そのコンテクストからロボットを取り出して、デザインビエンナーレに出展しました。僕たちの代わりになる、ふたつのロボットを持っていったんです。ただ、僕たちは、工事現場の人たちではないので、服を考え直す必要がありました。

服のテキスタイルは、1984年にリリースされたマックペイントを使用して作成しました。マックペイントに内蔵されているパターンを用いた、カモフラージュ模様です。パターンをひとつ選んで、ある形へと流し込むと、デザイナーが働かなくても代わりに、そのパターンが自動的にテキスタイルとなります。その自動で置き換わる感じは、ロボットとも親和性があると考えたんです。

後藤:展示には、キャプションなどの説明はつけなかったんですか?

スルキ:ないですね。ずっと挨拶していました。見ている人は、気に入っていたようでしたね。

ミン:ジャケットを盗ろうとする人までいたくらいです(笑)。最初の1週間は、屋外に立たせて、あとはギャラリーのなかに展示されました。

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スルキ:最後にご紹介するプロジェクトは、インスタレーションとパフォーマンスの作品です。「Gwangju Design Biennale 2011」に出展したもので、アーティスト・MeeNa ParkとSulki&Minの共同作品です。栄養ドリンクをモチーフにしました。日本でもそうですが、栄養ドリンクって人気ですよね。そのビジュアルランゲージや背景にある神話性みたいなことを研究したいと考えました。栄養ドリンクにはいろんなものがあって、韓国と広州の間にあるサービスステーションで、全37種類の栄養ドリンクをかき集めました。それを、カロリーや販売価格の高さ、人気などの順に展示をしています。もうひとつの壁には、エネルギースクリーンを設置していて、それぞれのドリンクが持つスローガンを見せました。また、77本の栄養ドリンクを混ぜ合わせたスーパー栄養ドリンクもつくって、訪れた人に提供しました。10mlほどの小さな瓶に入れて、持って帰ることもできます。念のため、持って帰る人には、誓約書みたいなものも書いてもらいました。変なことが起こったら大変なので(笑)。

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後藤:自分では?

スルキ&ミン:試していないです(笑)。

スルキ:「アルティメットパワードリンク」だと広告したんですが、フラフラする人もいれば、もっと欲しかったとやみつきになる人もいましたね。展覧会では、さまざまな人が飲み物について語っていて、とても興味深かったです。オープニングの後、少しだけドリンクが余っていたので、会場近くの植木にかけておいたのですが、次行ったときに見るのが楽しみです(笑)。

後藤:広州ビエンナーレで、一見デザインと関係ないけれど、おもしろい展示を試みたのは、「デザインが与える人への影響」みたいなことをはかるシリアスなテーマだったのでしょうか?

ミン:パッケージデザインが与える印象を探るといったシリアスな部分もありました。また、それを表すために会場では決して笑わず、あえて真面目で信頼のおけるデザイナーとして立ち振る舞っていましたね。

後藤:ほかの人の作品はどんなものだったのでしょうか。

ミン:ほかの人は、素直なポスターやまったくそうでないものもあったのですが、私たちのプロジェクトはコメディのようで異端でした。