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InterView02 Javin Mo[Milkxhake] from Hong Kong

2013.1.26(Sat.)15:30-17:00

ゲスト
Javin Mo[Milkxhake] from Hong Kong
聞き手
後藤哲也[OOO projects/typographics ti:編集長]
原田祐馬[UMA/design farm,typographics ti:クリエイティブディレクター]

プレゼンテーション

後藤:今回のゲストは、香港のグラフィックデザイナー、ジェイヴィン・モーさんです。彼とは、この取材を通して一番仲良くなったのではと思っています。香港へ取材に行ったときは、30分くらいしか時間がなかったんですが、お互いに感じるものがありました。

その後、帰国してジェイヴィンから「『typographics ti:』がすごくおもしろかったので、その内容について取材させてほしい」と依頼を受けたんです。『MILK Magazine』というファッション/カルチャー誌で、そこで彼はコラムを連載しており、アジアや世界のクリエイティブな動きを紹介しています。次号では、『typographics ti:』で取材に同行した原田祐馬さん、多田智美さんが制作を手がけている大阪市発行のフリーペーパー『SUPER:』が取り上げられました。

また、ちょうど1年ほど前、『typographics ti:』の取材で深圳に行くと決めたときにも、ジェイヴィンにはいろいろと助けてもらいました。香港から深圳は、バスでだいたい40分ほどで行けるので、「深圳で誰か英語を話せる人がいないか」と聞いてみたら、「じゃあ、俺が行く」という話になって。ギャラが出なくても、いいと快諾してくれて、タイトなスケジュールだった深圳での取材を丸5日、付き合ってくれました。そういう経緯もあって、彼は今回の取材のなかでも、もっとも親しくなったデザイナーなんです。

ジェイヴィン:こんにちは、はじめまして。ご紹介ありがとうございます。今回はこのような場所でお話しできて、嬉しいです。私は、「Milkxhake」という小さなスタジオを経営しています。1976年生まれで、香港の政治的状況により名前が変わっていて、イギリスの植民地時代は「Mo Cheuk Yin」という名前を名乗っていました。これが本名です。その後、3歳だった1980年からジェイヴィン・モーという英語の名前を使い始めました。香港が中国に返還されてからは、北京語で読んだ名前を名乗ることが多いです。これらの名前の変遷は、香港の西と東が出会う場所であるということを象徴していると思います。それによって、自分たちのアイデンティティも変わっているという状況です。

学生の頃は、デザインではなく、コミュニケーションを勉強していました。だけど、デザインが好きだったので、独学で学び、とあるデザインスタジオでジュニアデザイナーとして5年間働きました。その後、少しブレイクがほしくなって、1年間イタリアへ行き、ベネトンが主催しているリサーチ機関・FABRICAに通いました。

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FABRICAは、イタリア語でワークショップという意味で、25歳以下のデザイナー、アーティストが通っています。建築は安藤忠雄さんによるものです。ライティングやビジュアルコミュニケーション、フォトグラフィ、ニューメディアのコースがあり、コミュニケーションを活発にとれる環境が整っていました。FABRICAが発行している有名な雑誌に『COLOR』があるのですが、それとは別に、学生がどんな活動をしているか報告する『FAB』という雑誌があり、その制作を担当しました。

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これは、イタリア語と英語のバイリンガルで出版していました。ここでの制作経験では、自分にとっても重要で、デザインのみならず、編集にも関わることができたのは良い体験でした。季刊だったので、1年間で3号制作しました。表紙の写真は、フォトグラフィコースの学生が撮影し、文章はライティングコースの学生が書いています。この経験により、雑誌のデザインが好きになりました。

FABRICAにて、著名なアーティストを招聘する機会があったときに、この誌面でもインタビューを行いました。これは2号目で「AFTER」をテーマとし、ロンドンの建築ユニットFACTと『FAB』でコラボレーションしました。ロンドンの建築と彼らの『FAB』特集で、すべてFACTでビジュアルイメージをつくりました。

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これは最後の号で、自分にとって記念すべき号だったので、全学生に雑誌を持ってもらい、写真を撮ってもらいました。

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FABRICAで取り組んだ、おもしろいプロジェクトについてもうひとつご紹介します。その名も、「Wannabee Chinese!」、中国人になりたい人たちです。西洋人が中国人をどのように見ているかを調べ、特集にしました。

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ちょうどその時期は、胡錦濤が代表になる頃でした。1960年代における中国人の格好を、いろんな外国人にしてもらうというプロジェクトです。彼は、ルーマニア人のアーティストなんですけれど、1960年代のファッションに身を包んでもらい、どのくらい中国人っぽくなれるか実験してみました。

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彼女はアイスランドのミュージシャンで、現地で偽物のルイ・ヴィトンのバックを買って、写真を撮ったんですね。26ドルの偽物のバッグです。

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これは、イタリアのコーヒーに中国のお茶を混ぜることをやっている号。赤ワインに中国の醤油を注いでいるような、西と東のミックスを端的に表している。

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中国は、新年をむかえるときに赤い下着を必ず着用するんです。そのときにお金持ちになれるようにという意味の文字を赤い下着にプリントし、この2人に履いてもらって撮影しました。ここでの経験が通常の仕事だけではなくて、デザイナーとして何ができるか考える機会にもなりましたし、ライターや写真家との関わり方の可能性を考える機会にもなりました。